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AIとBlender公式MCPで教室を3回作って比べた|要件を細かく書くと何が変わるのか

AIとBlender公式MCPで教室を3回作って比べた|要件を細かく書くと何が変わるのか

X で、「何も指定せずにAIが作成したシーン」と「厳密に要件定義して、ほぼ自動稼働で生成されたシーン」の教室の絵を並べた投稿を見て、同じような比べ方を AI に試させました。今回の1回ずつの比べでは、カメラと光の要件をそろえると、日だまりや写る範囲の違いは埋まりました。一方で、椅子の背もたれが後ろの机にめり込む間違いは、何も指定しなかった1回目にだけありました。この記事は、2026年11月8日時点の Blender 5.2.0 と、Blender の公式 MCP サーバーで試した記録です。

この実験で確かめたこと

元の投稿(と り🐔/@t0rry_、2026年10月27日)の主張は、1枚目が「何も指定せずにAIが作成したシーン」、2枚目が「厳密に要件定義して、ほぼ自動稼働で生成されたシーン」で、2枚の教室の絵が並んでいました。返信では、ほかの人から、角度をそろえて比べるべきで、違いは材質・光・レンダリングではないか、という趣旨の指摘もありました。

そこで、次の2つを確かめました。

  • 同じ AI・同じ Blender の公式 MCP で、何も指定しない頼み方と、要件を細かく書いた頼み方では、できる教室がどれだけ変わるか。
  • その差のうち、カメラと光・レンダリングの設定をそろえるだけで埋まる分はどれだけか。

試した条件

項目

内容

ツール

Blender、Blender Lab の公式 MCP サーバー(アドオン「MCP」v1.0.3)、Claude Code 2.1.319

モデル・バージョン

Blender 5.2.0 LTS。AI は Claude Opus 5.5(claude-opus-5-5、考える量の設定は初めのまま)

プラン

Blender と MCP は無料。Claude は筆者の契約の範囲(プラン名は未確認)

試した日

2026年11月8日

画面

macOS(Apple シリコン)。AI は画面を見ず、MCP だけで Blender を操作した

使った素材

なし(毎回、Blender を開き直した最初の場面から)

AI に許したのは、Blender の MCP と、ファイルを読むことだけです。頼む文(プロンプト)は、この記事を書いた AI が書き、別の AI(Claude)に Blender を操作させました。

元の投稿とは条件が違うところがあります。投稿者は、Opus 5.5 の考える量を Middle にし、トークンを減らす仕組み(Jev)や、自分で用意したスタイルの画像を使い、家具は JIS 規格などを参考にしたと書いています。今回はどれも使っていません(考える量は初めのまま)。投稿者がどの Blender MCP を使ったかは確かめていません。寸法は記事を書いた AI が決めたもので、規格と照らしてはいません。

Blender と AI をつなぐ方法そのものは、Blender(ブレンダー)をAIで使う方法 にまとめています。

試したこと

回

頼み方

時間

費用の目安

机と椅子

Blender

1回目

何も指定しない

5分36秒

1.38ドル

36組

1回落ちた

2回目

要件を細かく書く

8分51秒

2.11ドル

30組

落ちなかった

3回目

1回目の物のまま、カメラと光だけ2回目の要件にする

10分6秒

2.72ドル

36組

落ちなかった

費用の目安は、Claude Code が実行のあとに出す概算の値です。実際の請求額は確かめていません。

1回目:何も指定せずに頼んだ

プロンプト:

Blenderで、日本の学校の教室のシーンを作ってください。最初からある立方体は消してかまいません。できたら、カメラから見た絵を {保存先}/A.png に保存し、Blender のファイルを {保存先}/A.blend に保存してください。

{保存先} には、実際は手元のフォルダの場所を書きました(2回目・3回目も同じ)。

Blender で AI が作った教室。緑の黒板に「数学 二次関数」の板書、時計、教卓、窓の外の木があり、机と椅子が6列並んでいる
1回目の結果(Blender 5.2.0、Claude Opus 5.5、2026年11月8日)。何も指定しなかったもの

何も指定しなくても、板書・時計・教壇まで入った教室になりました(絵には写っていませんが、後ろの壁には、かばんの入ったロッカーもありました)。机と椅子は36組(6×6)です。解像度(1600×900)、カメラの位置、レンダリングの方式(Cycles)は、AI が自分で決めました。

うまくいかなかったところ:

  • 作っている途中、Cycles でのレンダリング中に Blender が落ち、保存前の場面が消えました。AI は、MCP の「画面を出さずに Blender を裏で動かす」機能に切り替えて作り直し、保存まで終えました。最後の絵は、開いていた Blender の画面ではなく、裏で動かした Blender で作られたものです。
  • 物が1回目と同じ3回目の .blend ファイルを開いて調べると、36脚のうち16脚の背もたれが、すぐ後ろの席の机にめり込んでいました(深さは最大で約8.6cm。部品の重なりの幅から出した目安)。AI は「画像は目で見て確かめた」と報告していましたが、このことには触れていませんでした。

2回目:要件を細かく書いて頼んだ

部屋の広さ、机の数と寸法、通路の幅、光、カメラ、レンダリングまで決めて頼みました。「作る前に計画を立て、作ったあとで要件を1つずつ確かめる」ことも頼んでいます。

プロンプト:

Blenderで、日本の学校の教室のシーンを、次の要件どおりに作ってください。最初からある立方体は消してかまいません。作る前に、要件を満たすための計画を短く立ててください。作ったあとで、要件を1つずつ確かめ、合っていないところは直してから保存してください。

【部屋】
- 広さは幅 8m(左右)×奥行き 9m、天井の高さ 3m。
- 前の壁の中央に、緑色の黒板(幅 3.6m・高さ 1.2m、下の端は床から 0.9m)。黒板の下にチョークを置く細い棚。
- 前の壁の左に、教師用の机(幅 1.2m・奥行き 0.6m・高さ 0.72m)。
- 左の壁に、腰の高さ(床から 0.9m)から天井近くまでの窓を4枚、等しい間隔で。窓の外は明るい空。
- 右の壁に、引き戸を前と後ろに1つずつ(幅 0.9m・高さ 1.9m)。
- 後ろの壁に、掲示板(幅 4m・高さ 1.2m)と、生徒用のロッカー(高さ 1m・奥行き 0.4m・横いっぱい)。
- 床は明るい木の板、壁は少し黄色みのある白、天井は白。天井に細長い蛍光灯を6本。

【机と椅子】
- 生徒の机と椅子を 30 組。横に 5 列 × 縦に 6 列。
- 机: 天板 0.65m × 0.45m、高さ 0.70m。天板は明るい木、脚は灰色の金属のパイプ。
- 椅子: 座面の高さ 0.42m、座面と背もたれは明るい木、脚は灰色の金属のパイプ。椅子は机の後ろに、少し引いた位置。
- 列と列の間の通路は 0.6m 以上。黒板から最前列の机までは 2m 以上。すべての机は黒板の方を向く。

【光とカメラ】
- 晴れた日の午後。窓から日光が差し込み、床と机に窓の形の明るいところができる。部屋全体も明るく見えるように。
- カメラは教室の後ろの右の角、床から 1.5m の高さ。黒板の方を向き、教室全体が入るように。焦点距離は 24mm。
- レンダリングは EEVEE、画像の大きさは 1600 × 900。

【仕上がり】
- 写真のように自然な見た目。物が浮いたり、めり込んだりしていないこと。

できたら、カメラから見た絵を {保存先}/B.png に保存し、Blender のファイルを {保存先}/B.blend に保存してください。

変えたところ: 1回目の1文の頼み方を、部屋・机と椅子・光とカメラ・仕上がりの要件に分けて書き、作る前の計画と、作ったあとの確認も頼みました。

要件どおりに作られた教室。左に大きな窓が並び、床と机に窓の形の日だまりがある。黒板は無地で、机と椅子が5列並んでいる
2回目の結果(Blender 5.2.0、Claude Opus 5.5、2026年11月8日)。要件を細かく書いたもの

机と椅子は要件どおり30組で、エンジン(EEVEE)、カメラの高さ(1.5m)、焦点距離(24mm)も要件どおりでした。AI は、絵が白く飛んでいたのを自分で直し、黒板消しの 1cm の浮きと、壁の下の幅木とロッカーの 1cm のめり込みも直したと報告しました。こちらで .blend を調べても、椅子とほかの席の机のめり込みは0件でした。

うまくいかなかったところ:

  • 後ろの壁にロッカーと掲示板を置くように頼みましたが、カメラを後ろの角に置くように頼んだため、写りませんでした。要件どうしがぶつかっていました。
  • 通路の 0.6m は左右の列の間だけで、前後の席の間は 0.12〜0.18m しかありません(AI の報告)。
  • 黒板は無地でした。時計やかばんなど、頼んでいない物も足されましたが、板書のような小物は1回目より少なめでした。

AI は、ロッカーが写らないこと、前後の間が狭いこと、頼んでいない物を足したことを、自分から報告しました。

3回目:1回目の教室を、2回目と同じカメラと光の要件で撮り直した

返信の、比べ方が公平でないという趣旨の指摘を確かめるため、1回目のファイルを開き、物は変えずに、2回目と同じ【光とカメラ】の要件だけを当てました。

プロンプト:

Blenderで、次のファイルを開いてください: {保存先}/C_start.blend
これは日本の学校の教室のシーンです。部屋・机・椅子・小物などの物は、動かしたり、足したり、消したり、形や色を変えたりしないでください。変えてよいのは、カメラ・ライト・ワールド(空の光)・レンダリングの設定だけです。そのうえで、次の要件どおりにしてください。

【光とカメラ】
- 晴れた日の午後。窓から日光が差し込み、床と机に窓の形の明るいところができる。部屋全体も明るく見えるように。
- カメラは教室の後ろの右の角、床から 1.5m の高さ。黒板の方を向き、教室全体が入るように。焦点距離は 24mm。
- レンダリングは EEVEE、画像の大きさは 1600 × 900。

できたら、カメラから見た絵を {保存先}/C.png に保存し、Blender のファイルを {保存先}/C.blend に保存してください。

変えたところ: 物は1回目のまま。2回目の【光とカメラ】の3行だけを、同じ文で頼みました。

1回目の教室を、2回目と同じ焦点距離とレンダリングで撮り直した絵。板書のある黒板と教卓が大きく写り、床に窓の形の日だまりが並んでいる
3回目の結果(Blender 5.2.0、Claude Opus 5.5、2026年11月8日)。物は1回目のまま

同じ要件にすると、1回目の教室も、2回目と同じように日だまりのある絵になりました。AI は、太陽を高めにすると日だまりが机の下に入って見えないので、低め(15°)にしたと報告しています。そのため、夕方に近い光になっています。ファイルどうしを比べると、カメラ・ライトと光の計算用の部品を除いて、足された・消された・動いた物は0件でした。

うまくいかなかったところ:

  • 1回目の背もたれのめり込みは、そのまま残っています。カメラと光を変えても、物の間違いは直りません。
  • 頼んだ範囲(カメラ・ライト・空の光・レンダリングの設定)を超える変更が2つありました。絵に写らない光の計算用の部品を1つ足したことと、窓ガラスが影を落とさない設定にしたことです(ガラスの設定は AI の報告で、こちらでは確かめていません)。どちらも、日だまりを出すためだと AI が自分から報告しました。
3回目の結果の一部を切り抜いたもの。手前の机の天板に、前の席の椅子の背もたれが入り込んでいる
3回目の結果の一部を切り抜いたもの(Blender 5.2.0、Claude Opus 5.5、2026年11月8日。拡大はしていない)。椅子の背もたれが、後ろの席の机の天板に入り込んでいる

分かったこと

  • 今回の条件(1回ずつ、Jev・スタイル画像なし)では、何も指定しなくても、板書や時計などの小物まで入った教室になりました。
  • カメラと光の要件をそろえると、日だまりや写る範囲の違いはなくなりました。頼み方を比べるときは、カメラ・光・レンダリングの設定をそろえると、物の違いを見分けやすくなります。
  • 要件に「浮いたりめり込んだりしていないこと」と書き、作ったあとで確かめさせた2回目は、AI が測って直したと報告し、こちらで調べても椅子と机のめり込みは0件でした(1回だけの結果で、並べ方も1回目と違います)。
  • 今回は、AI が「目で見て確かめた」と報告した1回目の絵に、16脚のめり込みが残っていました。.blend を開いて、物どうしが重なっていないかを確かめると確実です。
  • 要件どうしがぶつかることがあります(後ろの壁の物と、後ろからのカメラなど)。カメラから何を写したいかを先に決めておくと、ぶつかりにくくなると考えられます。

ほかの AI の使い方の検証として、Meta の AI エージェントに Gemini Notebook を任せた記録は、MuseにGemini Notebookを任せてみた記録:「秘書が爆誕」は本当だったか にまとめています。

参考にしたページ