AIで資料・スライドを作る方法|ツールの選び方と、会社で使う前の注意点

AIを使えば、仕事の資料やスライドの「たたき台」を数分で作れます。ただ、AIに「資料を作って」と頼むだけでは、見た目は整っていても中身が一般論になりがちです。
この記事では、AIで資料を作る前に決めておくこと、AIへの頼み方、ツールの選び方、会社で使う前に確かめたいデータの扱いを順に整理します。ツールの情報は2026年11月時点の公式ページをもとにしています。
AIに頼む前に決めておく5つのこと
AIで作った資料が浅くなりやすい理由は、ツールの性能よりも、頼む側が「誰に、何を判断してほしいか」を伝えていないことにあります。
プレゼンテーションデザイナーの吉村伸一さん(株式会社Articulate代表)は、ChatGPT・Claude・Gemini・NotebookLM・Copilot・Gamma・Canva・Manus・Grok・Gensparkの10のツールに、同じ指示で架空の会社の営業資料を作らせ、できあがった102枚を比べています(note「10のAI資料作成ツールを同じ条件で資料を作らせて分析した結果、見えてきたこと」、2026年7月6日)。見た目はどのツールも整っていた一方で、構成はどれも「課題・解決策・機能・導入効果・事例・料金・お問い合わせ」と似通い、読み手の会社に固有の事実や判断に触れた文は1枚もなかったといいます。文章の多くは、何についてのページかを説明するところで止まっていたそうです。
つまり、AIに読み手のことを伝えなければ、どのツールを使っても一般論の資料になりやすいということです。AIに頼む前に、次の5つを決めておくと、資料の中身が具体的になります。
決めること | 例 |
読み手(いちばん大事な1人) | 取引先の営業部長 |
読み手の困りごと | 新人の営業がなかなか育たない |
資料を見たあとに取ってほしい行動 | 研修サービスの試験導入を決めてもらう |
いちばん伝えたいこと(1行) | 3か月で新人の受注率を上げられる |
それを支える根拠(3つまで) | 導入した会社の数字、具体的な事例、ほかの方法との比較 |
AIへの頼み方
いきなりスライドを作らせず、まず構成を表で出してもらい、それを直してから資料にすると、作り直しが減ります。
手順
- 上の5つを伝えて、ページごとの構成を表で出してもらう。
- 表の「伝えたいこと」の列だけを上から読み、話の筋が通っているかを確かめる。
- 直した表をもとに、スライドや文書に仕上げてもらう。
- 数字・固有名詞・日付を、元の資料と照らし合わせて確かめる。
そのまま使えるテンプレート
次の資料の構成を、表で提案してください。まだスライドは作らないでください。
【読み手】〇〇(役職・立場)
【読み手の困りごと】〇〇
【資料のあとに取ってほしい行動】〇〇
【いちばん伝えたいこと】〇〇
【根拠】1. 〇〇 2. 〇〇 3. 〇〇
【枚数】〇枚前後
表の列: ページ番号/役割/題名/そのページで伝えたいこと(2文以内)/載せる情報/確認が必要なこと「そのページで伝えたいこと」は、「〇〇について」のような説明で終わらせず、「事実 → それが意味すること → 読み手がすべきこと」まで書いてもらうのがコツです。吉村さんは、これを「ファクト → 解釈 → 示唆」と呼び、いきなりスライドにせず、まず文章だけで構成を出させることを勧めています。
できた文が具体的かどうかは、「その文を別の会社の資料にそのまま貼っても通じるか」で見分けられます。通じてしまうなら、まだ一般論です。
資料作成AIの3つの型
資料を作れるAIは、大きく3つの型に分けられます。
型 | 主なツール | 向いている人 |
ふだんのソフトの中で作る | Microsoft 365 Copilot(PowerPoint)、Gemini(Googleスライド) | 会社で Microsoft 365 か Google Workspace を使っている人 |
Webで資料を丸ごと作る | Genspark、Gamma、Canva | まず手早くたたき台やデザインを作りたい人 |
対話型のAIにファイルを作らせる | Claude | 構成や文章をじっくり練ってから資料にしたい人 |
ふだんのソフトの中で作る型
- Microsoft 365 Copilot(PowerPoint): PowerPointの中で、指示文やWordの文書からプレゼンを作れます。作る前に、聞き手や長さ、テンプレートなどを確認してくれます。個人向けのMicrosoft 365 Personal(月2,130円)などにも含まれます。会社向けには、Microsoft 365の法人プランに追加する形(年払いで1人月2,698円、税別。2026年12月31日までのキャンペーン価格)です。
- Gemini(Googleスライド): Googleスライドの中で、スライドや画像を作ったり、文章を書き直したり、Googleドライブのファイルを参照したりできます。Google Workspace の Business Standard(1人月1,600円、税別)以上で使えます。Business Starter では使えません。
会社でふだん使っているソフトの中で完結するので、作ったファイルの置き場所や共有のしかたを変えずに済みます。
Webで資料を丸ごと作る型
- Genspark: スライド・文書・表・Webページを、チャットで指示して作れるAIの作業場です。手元のPDF・Word・Excel・PowerPointをもとに作ることもでき、作ったスライドはPowerPoint・PDF・Googleスライドに書き出せます(書き出しは有料プラン)。Plusは月24.99ドルです。使い方は「Genspark スライド作成の使い方」の記事で詳しく説明しています。
- Gamma: プレゼン・文書・Webサイトを作れるツールです。無料プランでは最初に400クレジットがもらえ、補充はされません。PDF・PNG・PowerPointに書き出せますが、無料プランで書き出したPDF・PowerPointには「Made by Gamma」の表示が入ります。
- Canva: デザインツールのCanvaでも、指示文からプレゼンの下書きを作れます。構成を確かめてから作り始める流れです。無料プランでもAIの機能を回数を限って使え、Proは年144ドル(税別)です。PowerPoint形式で書き出せますが、PowerPointで開くと見た目が変わることがあります。
対話型のAIにファイルを作らせる型
- Claude: 対話の中でPowerPointのファイル(.pptx)を作れます。この機能は無料プランでも使えます。有料のProプラン(月20ドル)以上では、PowerPointの中で使えるアドインもあり、会社のテンプレートに合わせてスライドを作ったり、箇条書きをグラフや図に変えたりできます。
構成や文章を対話で詰めてから資料にできるので、前の章の「まず表で構成を出してもらう」頼み方と相性がよい型です。
目的別の選び方
こんな人 | 合いやすいツール |
会社で Microsoft 365 を使っていて、PowerPointで仕上げたい | Microsoft 365 Copilot |
会社で Google Workspace を使っている | Gemini(Googleスライド) |
資料・表・調べものを1つの場所でまとめてやりたい | Genspark |
とにかく早く、見た目の整ったたたき台がほしい | Gamma、Canva |
中身をじっくり練りたい、会社のテンプレートに合わせたい | Claude |
迷ったら、まず会社で使っているソフトに入っているAI(CopilotかGemini)を試し、足りないところを別のツールで補うのが、社内のルールともぶつかりにくい進め方です。
会社で使う前に確かめたいこと
資料には、取引先の情報や社内の数字が入ります。AIに入れた内容が、AIの学習に使われるかどうかはツールとプランで違います。
ツール | 個人向けのプラン | 会社向けのプラン |
Microsoft 365 Copilot | ― | 指示文・回答・社内のデータは、基盤のAIモデルの学習に使われない |
Gemini(Google Workspace) | ― | 指示文は顧客データとして扱われ、組織の許可なく学習に使われない |
Genspark | プライバシーポリシーに、学習に使うかどうかの記述がない | Team・Enterpriseは学習に使われない設定 |
Gamma | 学習に使われる設定が初期状態。設定で止められる | Team・Business・Enterpriseは学習に使われない |
Canva | プライバシー設定で許可した場合だけ使われる | Business・Teams・Enterpriseのデータは使われない |
Claude | 学習に使うかどうかを利用者が選ぶ | 会社向けの製品では、初期状態で学習に使われない |
(2026年11月時点の各社の公式ページ)
あわせて、次の点も確かめておくと安心です。
- 会社のルール: 社外のAIに社内の資料を入れてよいか、使ってよいツールが決まっているか。
- 無料版の扱い: 無料版や個人向けのプランに、社外秘の資料を入れない。
- 仕上げの確認: 数字・固有名詞・日付は、AIが作ったままにせず、元の資料と照らし合わせる。
個人事業主の場合
一人で仕事をしている場合は、会社のルールの代わりに、自分で線を引いておくことが大切です。取引先から預かった資料を使うなら、学習に使われない設定やプランを選ぶか、預かった資料そのものは入れずに、要点だけを書き直して渡すとよいでしょう。
まずは無料で使える範囲(Claude、Gamma、Canva、Gensparkの無料プランなど)で試し、自分の仕事に合うツールが見つかってから有料プランを選んでも遅くありません。
まとめ
AIで資料を作るときに大切なのは、ツール選びよりも、先に「誰に、何をしてほしいか」を決めておくことです。構成を表で出してもらい、伝えたいことの筋を確かめてから資料にすると、AIのたたき台をそのまま仕事に使える形に近づけられます。
ツールは、会社で使っているソフトに合わせて選ぶのが基本です。会社の資料を入れる前に、データの扱いとプランを確かめておきましょう。


